総務省が行った睡眠時間の調査では、女性の場合平均7時間35分で、男性の7時間45分よりもやや短めです。しかし、看護師として働く30歳以上の女性に行った調査では、平均睡眠時間は6.4時間でした。また、約8割の女性看護師が睡眠不足を感じているとのアンケート結果もあり、看護師の睡眠不足については真剣に考える必要がありそうです。
このように、看護師の多くが悩む慢性的な睡眠不足が、仕事にどのような影響を与えるのかというと、次のようなインシデントやヒヤリハットを引き起こしやすくなります。例えば、「与薬や薬剤管理のミス」では、時間や量、薬剤の内容の誤りや、点滴の滴下速度や輸液の順番の誤り、患者の取り違えなどが起こりやすいものとなります。
また、「ドレーンやチューブのミス」も起こりやすいインシデントです。接続部分が外れてしまったり抜けてしまうといったものや、折れ曲がったり切断されてしまうこともあり、患者の移動時や体位変換などのケアを行う時には注意しなければなりません。他には、「医療機器の設定ミス」も挙げられます。電源を入れ忘れてしまったり、設定のし忘れなど、エラーを防ぐアラームでは対応できないミスも起きやすいです。
このようなインシデントやヒヤリハットが何故起きやすくなるのかというと、睡眠不足が体に悪影響を与えているためです。睡眠不足になり体の疲れが取れなくなると、脳の機能が低下してしまいます。その結果記憶力や判断力が落ちてしまい、問題が起きても上手く動けなくなってしまうのです。また、精神的なストレスも大きく、情緒が不安定になってしまうため、仕事への意欲が低下してぼんやりしてしまったり、ひどくなるとうつ病を発症する危険性も高まります。